また、カーターはジョージタウンにあるグラハムとブラッドリーの住居を訪れ、レイアウトなどを確認した上でブルックリンのスタイナー・スタジオにセットを組んだ。その他の主なロケーションに、本作でワシントン・ポストの印刷機として使用された、ブロンクスにあるニューヨーク・ポスト紙の印刷機、連邦裁判所のシーンで使用されたブルックリン州裁判所、最高裁判所のシーンが撮影されたコロンビア大学ロウ記念図書館などがある。後者でスピルバーグは、グラハムとブラッドリーが6対3の評決とともに最高裁判所から出てくる象徴的なシーンを撮影している。

ライノタイプで植字するヴィンテージの印刷機は、ストリープのお気に入りだったようだ。「リックが現在は使用されていない古い印刷機を見つけたことは、本当にお手柄だったわ。本物の植字工と一緒に印刷のシーンを撮影するのはとてもスリリングな経験だった。昔に戻ったようで鳥肌がたったわ」とストリープは言う。

ホワイト・プレインズ近郊にある樹木に覆われた居留地は、ベトナムのロンアン省にあった海軍基地のセットとして使用された。海軍の軍事アナリストだったダニエル・エルズバーグがベトナム戦争の現実に幻滅し、大胆な行動に出るきっかけとなった場所である。第一次世界大戦と第二次世界大戦の両方をスクリーンで再現した経験を持つ熟練のスタッフとともに、スピルバーグとカミンスキーは緊張感あふれるシークエンスの撮影に挑んだ。

60年のキャリアを誇り、200本近い映画や舞台作品の衣装を手がけ、アカデミー賞®も獲得している衣装デザイナーのアン・ロスも、当時の服装を忠実に再現すべく糸やボタンに至るまで徹底的にリサーチした。「特に考慮したのは、登場人物が実在の人間だという点。だから数多く残された写真を通して、彼らが実際に着ていた服を確認した」とロスは語る。

クリーガーはロスの貢献に対し次のように賛辞を贈る。「アンは実力を最大限に発揮できる名匠よ。彼女は綿密にリサーチを行い、衣装でその時代を表現する方法を導き出す。俳優にも非常に協力的で、彼らが役に成りきる上で大きな助けになったわ。数多くのキャラクターの衣装を完璧に作り上げた」