本作はストリープにとって、スピルバーグとの初のコラボレーション作品となった。「スティーヴンはよく働いてよく考える人。でも、それは彼にとって遊びのようなものなの。子供のように、自由に映画製作に没頭しているだけ」とストリープは印象を語る。「スティーヴンの映画製作の手法は即興的で、ショックを受けたわ。状況が分からないまま、リハーサルなしに本番が始まるのには本当に驚いた。私たちはただ現場に行って撮影に挑み、後はスティーヴンが手を加えるだけなの。自発的でとてもスリリングだった。みんな常に気を張っていたわ」  一方、ストリープについてスピルバーグはこう語る。「キャサリン・グラハムという人物をメリルは本当に深いところまで掘り下げていた。私は監督として現場にいたのに、彼女がどうしてそれを可能にしたのか全く分からないよ」

共演のキャリー・クーンもストリープの役の取り組み方に感銘を受けたという。「メリルは常に役に入ろうとしていた。撮影に入る前、他の人と会話をしている時でも、耳にイヤホンを差し込んでキャサリンのアクセントを聴いていたわ。この作品で共演している私の夫のトレイシー・レッツも、『皆はメリルのことを天才だと思っているけど、彼女は非常に仕事熱心で努力を惜しまない』と言っていた。そんなメリルの様子を現場で見られて、すごく影響を受けたわ。彼女は自分が演じる役に対して責任を感じているし、自分自身の期待に応えなければという一種の恐怖心を抱いている」

ドン・グラハムは「もし母がメリル・ストリープの演技を見たら、きっと絶賛しただろう」と締めくくる。

1971年当時、グラハムが足固めに奮闘する中、一方のブラッドリーは、粘り強く、人に頼らない、積極的で仕事熱心な新聞記者として知られていた。1965年にグラハム自身がブラッドリーを編集長代理として雇用すると瞬く間に出世し、一流の記者を雇って彼らの能力を最大限に引き出せる編集主幹として評価された。

ラリー・グラハム・ウェイマウスはブラッドリーについてこう語る。「彼は気が強くて、チャーミングで、すごく自信にあふれた人だった。自分が常に正しいと思っている人だったけど、周りの記者はみんな彼のことが大好きだったわ。編集長として重要な素質ね。だから彼の周りには優秀な記者が集まった。彼の印象で真っ先に浮かぶのは、記者たちからの称賛と敬愛を受けていた点なの」

一時期ブラッドリーの家の近所に住んでいたことがあり、映画や世界情勢について彼と何度も話をした(しかしペンタゴン・ペーパーズは一度も話題にならなかった)経験を持つスピルバーグはこう続ける。「ベンはワシントン・ポスト編集室の最高司令官だった。第二次世界大戦中に海軍の指揮を執っていた経歴の持ち主だが、編集室でもまさに船長で、彼がチームを率いる様はまるで善意ある軍事活動のようだった。タフな人だったけど、優しさも兼ね備えていたよ。彼は人が好きで、チームを家族のように取りまとめていた。彼はワシントン・ポストを家族のように絆が深く、歴史に名を残すような優れた新聞社に育て上げたんだ」

徐々に築き上げられたブラッドリーとグラハムの意外な絆により、2人はペンタゴン・ペーパーズとウォーターゲート事件における伝説的な存在となっていく。彼らには共通の目的があったとドン・グラハムは言う。「2人ともワシントン・ポストを最高の新聞にしたかった」