レン・ダウニーも次のように続ける。「メリルはキャサリンの外見や話し方、行動の仕方を再現しただけでなく、物の考え方までもがキャサリンそのものだった。トムはブラッドリーの向こう見ずな性格を完璧に捉えていたよ。本編に登場する編集者や記者全員が、私が知る当時の人間たちを完全に再現していた。ゾクゾクしたよ」 脚本が完成に近づく中、スピルバーグは独特の方法で自身の見解を反映していった。パスカルが次のように説明する。「私はこれまでのキャリアを脚本やキャラクター、プロットを発展させることに費やしてきたけど、スティーヴンは違う。彼はもっと内面の部分を掘り下げていくの。例えば、キャラクターがどのように歩くかや、部屋に入った時にどんな風にコートを脱ぎ捨てるかなどについてね。彼の頭の中では、脚本を読むのと同時に映画が完成していく。そんなスティーヴンの様子をそばで見られたことは、とてもスリリングな経験だった」

スピルバーグにとってもう1つの喜びは、パワフルな女性に囲まれた環境の中でたくましい女性の物語を語ることだったようだ。「グラハムが自身の声や個人的な責務を見い出していく様には勇気づけられる。私自身も、毎日現場で素晴らしい女性たちに囲まれて光栄だった。製作のエイミー・パスカルやクリスティ・マコスコ・クリーガー、脚本のリズ・ハンナ、そして本作に出演した女優たちなど、皆が才能にあふれている。とてもエキサイティングな撮影だった」とスピルバーグは語る。

2017年の現代社会においても、グラハムは多くの女性にとって草分け的存在だとクリーガーは説明する。「男性中心の社会の中で女性が立ち上がるのは今でも困難なこと。状況は日々改善されているけど、それでもまだ改めるべき点がたくさんある。グラハムが先駆者として女性のために道を切り開いてくれたから、私たちは声を上げることに対して以前より抵抗がないし、強い女性になりたいと思える。だから、この作品に多くの優秀な女性スタッフが携わっているのは当然のことだわ。時には現場にいる女性の数が男性よりも多いことがあって、私にとっては初めての経験だった。キャサリン・グラハムの精神が撮影現場にあふれているような感じがしたわ」