脚本にさらに奥行きを与えるため、シンガーは実際に当時を体験した多くの人々にアドバイザーとしての意見を求めた。その中の主要人物が、ワシントン・ポストで20年間記者として活躍し、編集主幹も務めたスティーヴ・コル(現在はニューヨーカー誌のライターであり、コロンビア大学ジャーナリズム大学院の学部長である)、ブラッドリーの下で編集主幹を務め、1991年に彼の後継者として編集長に就任したレン・ダウニー、ニューヨーク・タイムズの元社説担当編集者でエイブ・ローゼンタールの息子であるアンドリュー・ローゼンタール、ワシントン・ポストの元編集者で現在はテキサス大学オースティン校ジャーナリズム大学院の学長を務めるR.B.ブレナーである。また、グラハムとブラッドリーの家族も作品に大きく貢献した。

本作は、スピルバーグがこれまで手がけた過去を題材とした作品とは大きく異なっているという。「今まで製作した歴史作品の登場人物はすでに亡くなっている。例えば『リンカーン』のために私や(脚本を担当した)トニー・クシュナーが関係者にインタビューをすることは不可能だ」とスピルバーグは説明する。「でもこの作品では、1971年のあの事件を体験した人々に話を聞くことができる。(キャサリン・グラハムの息子の)ドン・グラハムやその息子のウィル、(キャサリンの娘の)ラリー・グラハム・ウェイマウス、ダニエル・エルズバーグ、そして歴史が大きく変わったあの時代の中心にいた重要人物に会うことができたんだ。あの事件の当事者に直接話を聞けるなんて、まるで天からの贈り物のようだった」

グラハムとブラッドリーを個人的に知っていたコルは、人生の重大な局面を迎えた2人の様子が丁寧に描かれている点を特に気に入ったようだ。「この作品は、カリスマ性あふれる2人のリーダーの存在から大きな恩恵を受けている」とコルは語る。「1971年当時、グラハムは経営者として成長を続けている最中だった。新聞社の経営者に就任してから数年が経っていたが、まだ自分を強いリーダーへと改革している途中だった。本編で描かれている出来事は、グラハムの人生におけるターニングポイントだった。彼女はジャーナリストとしての真価を問われることになる。編集者としての道義のために、父から受け継いだ事業を自ら危険にさらすことができるかどうかという、究極の選択を通してね」

編集者や記者にとって、刑務所行きは非常に現実的な可能性だとコルは強調する。グラハムにとってさらに最悪なのは、家業である新聞社を破産に追い込んでしまう可能性もある点だった。「グラハムは侮辱罪に問われる恐れがあり、実刑の可能性もあった。それに、ちょうどワシントン・ポストが新規株式公開で株を売り始めた時期と重なったから、ビジネス上のリスクも大きかった。実際のキャサリンを知っている我々は、幸運にも彼女がこういった苦境の中でたくましく成長していく姿を目撃することができた」  また、コルはキャスティングについても絶賛する。「キャサリン役にはメリル・ストリープ以外考えられない。メリルが話したり歩いたりする様子は、まるでキャサリンがこの世によみがえったかのようだった。トム・ハンクスも、外見をブラッドリーに似せるだけでなく、彼の歩き方や反応の仕方、ジョークでさえもが彼そのものだった」